21_21 DESIGN SIGHT 2011.2.6昨夕は、東京ミッドタウン・ガーデン内のデザインミュージアムに立ち寄りました。
ここはデザイン関係の展示会やセミナーを通し、デザイン文化を発信するための施設。
企画は、三宅一生デザイン文化財団だそうです。
「21_21 DESIGN SIGHT 」と命名された建物は、安藤忠雄氏の設計です。
ディレクターの三宅一生氏の服作りから、安藤氏が着想したと云う大屋根は、
僅か16mmの厚みの鉄板が、高度な職人技により溶接されたものだそうです。
温度によって伸縮する鉄板は固定されておらず、余地が残されているのだとか...
そういえば、開館時のこけら落としは、建築工事の様子が見て取れるものでした。
「
安藤忠雄 2006年の現場 悪戦苦闘」と題された特別企画展...
それは、職人技の素晴らしさに触れられた催しでした。
建物はエントランス・ロビーを除き、ギャラリー等が地下に配されていますので
外観から受ける印象より広い空間で、初めて足を踏み入れた時はビックリ!
サンクンコートも設けられ、地階にも外光が射し込む工夫もみられます。
企画展もさることながら、建築や随所にみられるこだわりのディテールも必見です。
21_21 DESIGN SIGHTミュージアムの背景には、ヒマラヤ杉が立ち並んでいます。
鋭利な大屋根のコンクリートの建物が、この並木でより際立ちますね。
日曜だからでしょうが、ガーデンの遊歩道には親子連れが目立ちました。
写っていませんが、ミュージアムの左側の建物は「カノビアーノカフェ」です。
「クリストとジャンヌ=クロード展」以来の、今回久々の訪問となりましたが、
このミュージアムは、インスピレーションが湧きおこる刺激的な空間です。
21_21 DESIGN SIGHT EXHIBITION
倉俣史朗とエットレ・ソットサス展 今は亡き、
倉俣史朗氏と
エットレ・ソットサス氏の企画展が始まったところです。
デザイナーの倉俣史朗氏は、「
Memphis/メンフィス」プロジェクトを通して、
デザイン界の巨匠、エットレ・ソットサス氏と親交をもたれたようです。
今回の企画展は、おふたりが出会われた1981年を起点とする構成でした。
ロビーで最初に出迎える作品も、1981年の「Memphis/メンフィス」のもので、
ソットサス氏64歳のデザイン、カラフルな「
Calton/1981(カルトン)」でした。
この年齢にしてユニークで柔軟な発想、その若々しさには脱帽するしかありません。
その隣には、原美術館所蔵の「
Imperial/1981(インペリアル)」も...
さらに倉俣史朗氏の、あのテラゾー素材のまるいテーブルへと続きます。
いくつかあるようですが、ロビーに置かれたのは4本脚の「
TOKYO/1983」でした。
(地階ギャラリーには、「KYOTO/1983」もありました。)
曇天の夕刻でしたが、芝生に面した大きなガラスからは自然光が射し、
さらに、反対側の壁に施された細長いスリットの、ガラス越しの光も加わり、
ロビーは、十分な明るさを保っているようでした。
少しずつ夜が短くなっているようです。
リーフレットには「ミス ブランチ」の薔薇が...
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21_21 DESIGN SIGHT EXHIBITION?
倉俣史朗とエットレ・ソットサス展
夢見る人が、夢見たデザイン
KURAMATA SHIRO and ETTORE SOTTOSS
2011.2.2 WED − 5.8 SUN
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11:00 − 20:00 Entrance untill 19:30
Closed on Tuesday (exceot May 3rd)
さて、地階に降りますと映像のコーナーが...
用意された椅子は、熱心に見入る来館者で、すべて埋め尽くされていました。
ちょうど倉俣史朗氏のインタビューのシーンが流れ、お人柄が伝わってきます。
子供の頃に抱かれたという戦争への思いを語っておられるところでした。
惹き込まれるようにスタンディングの輪に加わり、聴き入りました!
1934年、本郷で誕生の倉俣さんは、9歳で静岡県に疎開、
そして、終戦を迎えられたのは11歳の時だったそうです。
独特な感性、自然体、自由、真っ直ぐ、穏やかで温か...
言葉を選ばれ、とても丁寧にお話されていました。
かたちで云えば、まあるい印象の倉俣氏がそこにいらっしゃいました。
さて、次はいよいよギャラリーへ...
ドキドキしながら進むと、その空間はまさに「ソットサスの世界」!
「
Kachina/カチナ」が並ぶ部屋でした。
アレッシィ社のテーブルウェアは楽しいので、日常でもいくつか使っていますが...
そのテーブルウェアとイメージがピタリと重なる作品もありました。
それらは、最晩年のソットサス氏が残したドローイングをもとに、
制作されたと云うアートピースで、なんと世界初公開だそうです!
「KAchina/カチナ」というのは、ソットサス氏の云うところの「未知なる者の魂」。
もとの意は、彩色した木製人形(ドール)の一種だそうです。
壁面のドローイングと、一点一点比べながらアートピースを観ました。
作品名はわかりませんが...
ネックレスのようなものを二重巻きにしたのが印象的でした。
そのアートピースは、美しいオブジェのように見えましたが、
心の中では思わず、「囚われのカチナ」と呟いていました。
パネルに添えられたソットサス氏の言葉には、7つのカチナがありました...
土曜と日曜に制作するのだと、確かあったような気がします。
「鉛筆のカチナ」
「子どものカチナ」
「怒りのカチナ」
「家のカチナ」
「孤独のカチナ」
「恐ろしい力のカチナ」
そして、
「水のカチナ」etc...
「カチナ」というのは、そこから知性がすべてとり払われ、
五感だけが浮き彫りにされた「生命」のようなモノだと、感じました。
素材は新しいのに、プリミティブなのですね!
ガラスのような冷たい素材にさえ、そこに魂を宿らせるクリエイターとは...
まるで神さまのようにも思えるのでした。
カチナたちを後に、次に進んだ広いギャラリーにはファニチャーも...
先述のテラゾーのテーブルもありました。
「椅子にすわる椅子」といったような、韻を踏み同じ物を繰り返し見せる作品も...
インパクト大のファニチャーは、なんといっても薔薇のチェア。
倉俣氏の代表作、アームチェアの「
Miss Blanche/1988(ミス ブランチ)」です!
56脚しか作られなかったという希少品ですが、ここでは4脚も展示されています。
溢れんばかりの赤い薔薇たち...
軽やかで、まるで今にも浮き上がらんばかりの「ミス ブランチ」!!
ですが、存在感があり過ぎて、どっしりと重そうにも見えたり...
倉俣氏、54歳の作品だそうです。
女子大生風の若いお嬢さんが、「カワイイ!」を連呼していました。
小品ですが、香水瓶コーナーにも興味津々でした!
いくつかあった中から、印象に残った香水瓶を描きとめてみました。
Perfume Botolle/1990 (香水瓶 最終型)
一部をラフ描写 by Richesse ユニークでカラフルな、あの長い長いベッドも据えられていましたよ。
倉俣史朗氏の、この不思議な「
Laputa/1991(ラピュタ)」は、楽しすぎて
きっと私なら、胸が高鳴り過ぎて、とても眠るどころではないでしょう。
万一眠りに就いたとしたら、いったいどんな夢を見られるのでしょう...
表現は異なりますが、おふたりの巨匠のデザインそのものがまさに「夢」ですね!
ミュージアムを出る時は、倉俣氏とソットサス氏に感謝の気持ちが溢れるのでした。
最後に掲げられていた倉俣史朗氏の言葉を記しておきます。
Sensibility might well be the synthesis of love.
Shiro Kuramata
<感性こそ総括された愛なのではないだろうか 倉俣史朗 >
トゥーワン・トゥーワン・デザインサイト
<Directors> 三宅一生・佐藤 卓・深澤直人
<Associate Director> 川上典李子
以下追記しました!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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特別シンポジウム
「磯崎 新と語ろう!−倉俣史朗とエットレ・ソットサス」
2011.2.11.(Fri)14:00−16:00
会場 :東京ミッドタウンホール ホールA
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注)倉俣史朗とエットレ・ソットサス展会場とは場所が異なります。
■出演: 磯崎 新(建築家)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
井上真吾(会社員)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
松原 慈(建築家)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
溝口至亮(SIGN共同主宰、インテリアスタイリスト)
Nosigner(デザイン・ディレクター)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鈴木清巳(デザイナー)・・・・・・・・・・・・・・・・・
■モデレータ: 関 康子(本展ディレクター)・・・・・・・・・・・・・・・・
lllllllll 三宅一世氏と本展ディレターの関康子氏からのメッセージはこちら lllllllll
http://www.2121designsight.jp/program/krst/message.html#sekiyasuko
21_21 DESIGN SIGHT
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東京都港区赤坂9-7-6
(東京ミッドタウン・ガーデン内)
http://www.2121designsight.jp/en/
TEL:03-3475-2121
OPEN:11:00-20:00
CLOSED:Tue.・・・・・・
(12/30-01/03)
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