奈良
萬御菓子誂処 樫舎(かしや)
元興寺近くに佇む、町屋づくりの小さなお菓子やさんに立ち寄りました。
奈良の寺社仏閣や茶人から信頼の厚い和菓子職人の、
喜多誠一郎さんが、周囲の勧めで始められた「樫舎」です。
以前は、春日大社や薬師寺などからの注文のみを作られたそうです。
昨年6月、ここ「ならまち」にオープンされて以来、瞬く間に人気店に・・・
この日も引き戸を開けると満席で長い時間待ちましたが、その間にも
覗かれては、残念そうに帰られる方たちが多くいらっしゃいました。
1階玄関脇の小上がりにもテーブルはありますが、
レトロな空間の、この急な階段を上がると2階席・・・
JAZZが流れる、隠れ家のような不思議な空間です。
忙中の閑、和みのひととき・・・
はじめに運ばれるのは、冷たいお煎茶です。
散策で乾いた喉が喜びました・・・
樫舎の御干菓子
舌のうえで、ハラリと崩れる上品な甘みの御干菓子。
丁寧な手仕事が窺われる和菓子ばかりが店先に並んでいます。
それは決して奇を衒うものではなく、滋味深いものばかり・・・
樫舎の栗きんとん
この日、選んだ生菓子は栗きんとんです。
栗と丹波大納言のマリアージュ・・・
さっぱりしたこし餡入りで、このなめらかさは絶品です!
餡は、丁寧に小豆の皮と実をこし分けた後、何度も水にさらし
1日かけて炊き上げたものを、さらに一晩ねかすのだそうです。
樫舎の葛焼き:みよしの
ひと口いただいたら、これは「洗練」のくず焼き・・・
吉野本葛と丹波小豆の餡が混ぜられ、表面は焼かれたもの。
口の中で葛がとろけ、おだやかな甘味がふんわりと広がります。
用途に応じた誂えを専門にされているだけあり、
素材や古式ゆかしい製法にこだわられています。
今回は、口にしていませんが白餡には備中白小豆を使用、
広く流通している大粒の「手亡」はもちろん使われません。
とことんこだわられる姿勢には、胸を打たれます。
お抹茶も見事で、美味しさに感激していますと、
帰り際、わざわざ茶筅を見せてくださいました。
辻調理師専門学校で製菓の教鞭をとられるだけあり
お菓子やお茶道具などの説明も丁寧で熱いものでした。
樫舎のお干菓子:小種(こだね)
阿波の和三盆糖の蜜があっさりの、ふやき煎餅です。
中央の焼印が愛らしさを添え、これも上品なお味でした。
近江の餅米が使われ、香ばしい仕上がりです。
店主の喜多誠一郎さんのお人柄は誠実そのもの。
お待たせして本当に申し訳ございませんでした、と
お詫びということで、自らこの「小種」をお持ちくださいました。
ごちそうさまでした。
樫舎 (かしや)
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奈良市中院町22-3
TEL:0742-22-8899
OPEN:9:00〜18:00
CLOSED:Wednesday
www.kasiya.jp