le Magazine ★ Richesse                                                      リシェスなささやき・・

Manet et le Paris moderne/マネとモダン・パリ                @丸の内 三菱一号館美術館

丸の内 三菱一号館美術館「マネとモダン・パリ」展                                        丸の内 三菱一号館美術館

丸の内にできた旧くて新しい、赤煉瓦のビル...
建築家、ジョサイア・コンドル設計の(旧)三菱一号館が、
今春見事に復元され、三菱一号館美術館として生まれ変わりました。
開館を記念する展覧会「マネとモダン・パリ」は人気を博したようでしたね。

盛況のうちに幕を閉じた開館記念展「マネとモダン・パリ」ですが、
閉幕を目前にして、もう一度モリゾに会いたくて(笑)丸の内を再々訪しました。

前回の訪問はいずれも夜でしたから比較的ゆったり鑑賞できましたが、この日は
噂に違わぬ人々のひしめきで、けっして広いとはいえない館内では辟易気味...
うだるような暑さ、流石にこちらの一号館広場では人の気配が薄くほっとしました。



丸の内  一号館広場                      一号館広場

三菱一号館美術館と丸の内パークビルディングに囲まれた中庭です。
強い陽射しではありましたが、緑が目に嬉しく新たな感動...
丸の内の喧騒のなか、ちょっとした癒し空間ですね。
なんと、ヒメシャラの樹もありました。



三菱一号館広場 Park in Rome 1976 by Toshio Yodoi                  ローマの公園 1976  by 淀井敏夫

箱根からやってきたこのふたり...(彫刻の森美術館蔵)
この暑さは辛いでしょうに... 思わずパラソルをかざしてあげたくなりました。




三菱一号館広場 薔薇                  一号館広場 マネが愛した薔薇

猛暑に怯むこともなく、そこかしこで咲いていた薔薇たち。
ガス灯の灯る庭園はレトロで趣はありますが、やはり薔薇は太陽の下で愛でないと...



さて、今更ですがこの展覧会では、エドゥアール・マネ(1832-1883)を中心に、
同時代作家による作品が油彩の他、建築素描や写真等も交え紹介されました。

各地で印象派やその周辺の作家たちの展覧会が目白押しの昨今、
本展は、その「印象派」の父とも呼ばれるマネの功績を称えるものでした。

この美術館の館長を務められる、高橋明也氏は折にふれ、
エドゥアール・マネを称え、好きな画家だと述べておられますが...
本展のテーマは、マネ芸術に造詣の深い高橋明也館長ならではの選択で、
西洋美術におけるマネの存在の重要性がよみとれる構成でした。

19Cのパリの変貌を敏感に感じとりながら、次世代を担う若者たちを牽引した、
この偉大な画家、マネの全貌が示され、いまひとつ分かりかねていたマネに
新たな視点で向き合うことができる機会をいただけた展覧会でした。

当時の旧体制で権威あるサロン展に、アバンギャルドの一石を投じたことで
酷評を浴びたマネの作品ですが、彼を慕う画家たちにとっては希望の光であり、
その影響は印象派のみならず、新印象派やポスト印象派の画家にも及びましたね。



丸の内 三菱一号館美術館「マネとモダン・パリ」展_poster                          三菱一号館美術館開館記念展 「マネとモダン・パリ」ポスター

ポスターには、マネが描いた「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」が...
3年ほど前に開催の「オルセー美術館展」でも注目を浴びましたね。



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               三菱一号館美術館開館記念展
                  「マネとモダン・パリ」
              Manet et le Paris moderne <機

           機ゥ好撻ぅ鷦駝とレアリスム:1850-60年代
           供タ凸さの中のマネ:家族と友人たち
           掘ゥ泪佑肇僖蠕験

                   2010/4/6(Tue.)〜7/25(Sun.)
                             三菱一号館美術館
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              主催三菱一号館美術館・読売新聞社・NHK・NHKプロモーション
           共同企画:オルセー美術館   後援:外務省・フランス大使館
                特別協力: ランス国立図書館 協力:日本航空、大日本印刷
          

                       

ところで、今回の三菱一号館開館記念展には、3度足を運びましたが
実はいずれも、この「ベルト・モリゾ」に誘われてのことでした。(笑  
理屈を抜きに、美しいモリゾを描いたマネの吸引力には抗えませんでした。
           
印象派の画家として生きたベルト・モリゾでしたが、
当時は女性が画家になるのは困難な時代...
女性を受け入れる画塾は、ほとんどなかったそうです。

ですが、マネはこの美しい良家の子女に門戸を開き、
モリゾはマネのアトリエに度々通うようになったようです。

マネのモデルとして、作品に刻まれた彼女の肖像画は、
油彩のみならず、水彩も数えると14点にものぼるようです。

そのなかで、魅かれてやまないのはやはりこちら...
このモリゾの眼差しの前では、微動だにできずただ溜息です。



Berthe Morisot au bouquet de violettes 1872_Edouard Manet_Musee dOrsay                          Berthe Morisot au bouquet de violettes 1872
                                             Edouard Manet



しつこいですが、「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」はやはり秀逸です!
当時としては、光の扱いが斬新だったに違いありません。

高橋明也館長もご挨拶でポールヴァレリーを引用されましたが、
「なによりもまず黒、絶対的な黒がある」
マネの真骨頂ともいえる黒の陰影は、この言葉に尽きると思います。

カンヴァスのなかでこの黒の陰影に包まれたモリゾは、
その面(おもて)にもたっぷりと光を浴び、クールで透明な輝きをみせていました。

見開かれた大きな瞳についても、先述のモリゾの義理の甥、
詩人のポールヴァレリーが次の言葉を残しているようです。
「深い放心からくるもので、いわば’無意識の積極性’を示している」
これは、吉川逸治氏の翻訳文の形で紹介されていました。


真意はともかく、穏やかですが深い思いを秘めた眼差しにも思え、
「マネの画風だけには囚われない!」という強い意思を放っているようにも...

ベラスケスやゴヤ、彼らスペインの画家たちに強く影響を受けたマネ...
伝統的な写実にも敬意を払いながら、自身の画風を確立させます。
一方、モネやルノワールの明るい色彩と自由なタッチに傾倒してゆくモリゾ!
そのモリゾを前に、マネはどんな思いで絵筆をとったのでしょう。

やがてこの美しい女性は、自らの感情に従い、
つまりマネの反対を押し切り、自身の可能性に賭けます。

当時、モネやルノワールらは作品を受け入れてくれない旧体制のサロン展に反発し、
自主的にグループ展を企画しましたが、モリゾもこの展覧会に出品するのでした。
1874年のこのグループ展が酷評に曝され、後に印象派展と呼ばれたのは周知ですね。

マネはというと、彼らに師と仰がれながらもこのグループ展には参加せず、
サロン展の権威そのものに挑戦しながら、ですが物心ともに彼らを支えたそうです。
印象派とは距離を保ちながらも、その画風は次第に彼らの影響を受けてゆくのですが...


ところで、マルモッタンのルアール・コレクションのモリゾの作品の多くにみる、
光をカンヴァスに映し出す繊細な画風と、そのテーマには心和ませるファンのひとり。

女性が職業画家として生きるなどもってのほか、という時代にあって
作品もさることながら、なによりも画家としてその意志を貫く姿勢に共感しますが、
そのモリゾの内面を一瞬に捉えるマネの才能には脱帽です!!

モリゾに伴侶として選ばれたマネの弟、ウジェーヌは生涯にわたり彼女に尽したそうです。



◆BOOK◆
こちらは、展覧会に先立ち知人からいただいた本です。
三菱一号館美術館の高橋明也館長による丁寧な解説で
私のようなアート好き&アート初心者にもお薦めの1冊です。

もっと知りたいマネ 監修:高橋明也 発行所:東京美術                  もっと知りたいマネ 生涯と作品  
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序文:モデルニテ(近代性)の具現者マネ
プロローグ 誕生、そして少年時代(1832〜1849★0-17歳)
1章 画家としての出発 1850〜1862 18-30歳
2章 落選者から革命家へ(1863〜1866★31-34歳)
3章 パリの近代を見つめて(1867〜1873★35-41歳)
4章 自身の絵筆を信じて(1874〜1883★42-51歳)
エピローグ パリとともに生きた51年の日々
◆マネの晩年の愉しみ
◆日本におけるマネ
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アート・ビギナーズ・コレクション
もっと知りたいマネ 生涯と作品
著者 高橋明也
初版第戯発行 2010/2/25
ISBN978-4-8087-0867-2
発行者 加藤泰夫  
発行所 株式会社東京美術
編集   久保恵子 はしもとゆうこ
印刷   大日本印刷株式会社
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丸の内 三菱一号館美術館
MITSUBISHI ICHIGOKAN MUSEUM

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東京都千代田区丸の内2-6-2
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://www.mimt.jp/
OPEN 水・木・金      10:00〜20:00
          火・土・日・祝 10:00〜18:00
CLOSED  月
・東京メトロ千代田線 二重橋前駅(―亳) 徒歩3分
・JR 東京駅(丸の内南口) 徒歩5分
    有楽町駅(国際フォーラム口) 徒歩5分

Art ☆Museum(アート・美術館) : comments(2) : - : posted by le Magazine ★ Richesse
Comment








マネ展に3回ですか?!
混んでることを厭うて結局行かずじまいでしたので、Richesseさんの記事で見た気になったところです(笑)。
posted by josh : 2010/07/30 8:47 AM :
joshさん ようこそ!

前回はいずれも夜間で閉館間際...
今回ようやくゆっくりと鑑賞できました。

オルセーでは、それほど興味深くマネを観ていず、
実はこれまで苦手意識が強かった作家でした。
(モリゾのすみれを除いては...)
マネのことをよく知らなかったので、
今回はいい機会をいただけたのですね。

joshさんは、絵画事情に詳しくいらっしゃるはずですから
(勝手にそう決め込んでいます)
この記事がずいぶん偏ったものであることにはお気づきでしょうね!(笑

つたない覚え書きをご覧くださり、ありがとうございました。
posted by le Magazine ★ Richesse : 2010/07/30 11:33 PM :
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