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きらめく装いの美 〜香水瓶の世界〜展                                    @ 東京都庭園美術館

le29octobre2010_東京都庭園美術館                                 白金台 東京都庭園美術館


香料の研究に携わる友人に誘われ、久しぶりに白金台の美術館を訪ねてみました。
東京都庭園美術館では、「きらめく装いの美 〜香水瓶の世界〜展」を開催中です。

云わずと知れた「旧朝香宮邸」ですが、戦後は首相公邸、国の迎賓館としても使われ、
西武グループの所有を経て東京都の美術館となり、1983年から一般公開されています。

アンリ・ラパンやルネ・ラリックによる室内装飾が主要な部分に施されていますが、
アール・デコ様式を取り入れた建物の制作に携わったのは宮内省内匠寮だそうです。




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               正面玄関では狛犬(獅子)たちがお出迎え...

シンプルなアール・デコの建築に阿吽の像...洋の東西文化の融合にもみえますね。
なんとも厳めしい形相の像たちですが、この空間に威厳を添えているようです。

これを眺めるとルーヴルが所蔵する、あのマリーアントワネット・コレクションの
雅なブルーの「FONTAINE A PARFUM/香水の噴水」を想い出してしまうのですね。
朝香宮妃殿下はもしやパリでそれをご覧になり、ここにこうして造られたのでは...と
何の根拠もありませんが、勝手に憶測してしまうのです。



東京都庭園美術館 きらめく装いの美〜香水瓶の世界〜展                    東京都庭園美術館 エントランス


正面玄関の奥にある、ルネ・ラリックのガラス扉のレリーフもよく知られるものですね。
(これ以上、カメラは近づけませんので悪しからず...)
この扉に施された優美な女性像は、4種類のデザイン案の中から採用されたもので
ラリックのオリジナルは裸婦像だったようですが、着衣像への変更を要請されたそうです。

朝香宮邸建造にあたり、ラリックはこのガラス扉(プレス成形)の他に
大客室のブカレストと、さらに大食堂のシャンデリアの制作にも携わっています。
これら室内装飾におけるラリックの作品は、用の美を超えたモニュメンタルなもの。

まさに旧朝香宮邸・東京都庭園美術館のシンボルともいえるガラス扉ですが、
この扉のレリーフとともにシンボリックなオブジェがもうひとつ...
展示室で最初に迎える白磁の噴水塔(通称 香水塔)がそれです。

これはセーブル磁器製の噴水機能を備えた照明器で、
フランスの装飾美術家、アンリ・ラパンのデザインによるものです。

パリに滞在中、朝香宮妃殿下はメゾンでも香水を購入されたそうですが、
この邸宅が竣工された当時、正式な会食等の集いの際には
噴水塔上部の照明部分に香水が垂らされ、室内には香りが漂っていたのだとか...

優雅な光景に想いを馳せながら、ふと鼻腔に届く香りの粒に気付きました。
今回は特別に資生堂さんのご協力で、この展示室には微かに香りが流れています。
素敵な演出に心が浮き立ちます。




きらめく装いの美〜香水瓶の世界〜Perfume World展ポスター            きらめく装いの美 〜香水瓶の世界〜 展ポスター


↑  玄関脇のポスターに掲載の香水瓶は、ほとんどがバカラ社製のもの...

はじめの展示室にもバカラ製の「フォンティーヌ・ア・パルファン」が鎮座していました。
「 FONTAINE A PARFUM〜香水の噴水〜 バカラ社/キャロン社 1981 」
50cmほどの高さがある受け皿付きの香水瓶で、ゴールドが施されインパクト大!
これはキャロン社の店頭で、量り売り用に置かれていたものだそうです。                

個人的には、煌びやかすぎて後ずさりしてしまう豪華さで...
今回の展示のなかで好きなバカラといえば、楚々としたシンプルさがたまらない、
ロジェ・ガレ社やウビガン社のカラフォン型ボトルと、リュバン社のローズ・リリパットなど。

同じ頃、作成されたポシェ・エ・デュ・キュルパルが手がけたという、
ゲラン社のフラコン・カレやフラコン・カーヴにも魅かれます...

齢を重ねると「削ぎ落しの美」というか、シンプルがいちばんになり、
装飾過多なものからは、だんだんと遠ざかるようになってきました。

この頃(1889年)の万博で、サロンのショーウィンドーに並んだ香水瓶といえば、
その多くがよく似たタイプの、クラシックなカラフォン型ボトルだったそうですから、
ラベルが、触れることができない香水を区別する重要な役割を担っていたのでしょうね。
今回の展覧会は、香水瓶と共に歴史的変化を辿ったラベルにも注目できる構成でした!


さて、上のポスターにある香水瓶の覚え書きです。左から...
・  デラックス香水瓶/DIORISSIMO 1956年(バカラ社/クリスチャン・ディオール社)
・ 香水瓶≪ジャドール≫/J'ADORE 1999年(バカラ社/クリスチャン・ディオール社)
・ 香水瓶≪ジェディ(ラジェータ・キャップ)≫/DJEDI 1926年(バカラ社/ゲラン社)
・ ジェリ缶型香水瓶/FLACON JERRICAN  1925-1927年(バカラ社/イブリ社)
・ 卵型香水キャビネット/EGG-CAVE A PARFUMS  1870年頃(フランス)

※ 右上の香水瓶≪ジェディ(ラジェータ・キャップ)≫は、バカラ社のジュ・シュバリエの
  デザインによるものですが、これは≪プチ・ブール(バタービスケット)≫/1916年に
  制作されたのと同モデルのようですよ。

                    

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                    きらめく装いの美
           〜香水瓶の世界〜
                 Perfume World

          会期: 2010年9月18日(土)−11月28日(日)
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     主催: 財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館
     後援: 東京都
     企画: マルティーヌ・シャザル(美術史家)
     企画協力:アートコンサルタントインターナショナル、ロータスプラン株式会社
     年間協賛:戸田建設株式会社、東京ガス株式会社



古代からの香りの歴史を紐解きながら、香水瓶の意匠の変移を改めて観賞しました。
中世のヨーロッパでは疫病の予防策として、香りのポマンダーが使われましたが、
今回初めて目にするポマンダーや香油瓶もあり、興味深く観させていただきました。

当時の女性のライフスタイルが映しだされた香水瓶のひとつひとつに、
あれやこれやとストーリーを重ねながら、観て歩くのは楽しい時間でした。

日常でも、祖母や母から譲り受けた香水瓶を大切にしていますが
先述のルネ・ラリックが手がけたコティ社の香水瓶には、特に魅かれています。

今回、コティのフラコン・シプレやロリガン等の香水瓶をはじめ、フォルヴィル社や
ロジェ・ガレ社、カナリナ社、ドルセー社など、多くのラリック製が展示されていました。

当初、ルネ・ラリックの香水瓶はジュエラー時代のスタイルを保守したものでしたが、
宝石にすぐるとも劣らぬアール・ヌーボーの余韻がみられる初期の作品も展示され、
湘南(江の島)のミュゼで観た、コティのために最初に手がけた香水瓶と重なりました。

興味深かったのは、ドルセー社の「ラ・ルノメ・ドルセー」と命名された、
ユリやシプレなど、5種の香水テスターで透明ガラス・パチネのもの。

これらの他に、自社(ラリック社)のために制作した香水瓶も加えると、
今回の展覧会では65点ものラリックの代表作品が展示されているそうです。

ところで今回の展覧会ですが、香水瓶やラベルのみならずポスターや、
(ギョーム・ジレによるたランヴァンのポスターに和みました!)
さらには個人所蔵の「しおり」の展示もあり、こちらも見応えのあるものでした。




東京都庭園美術館ウッドデッキ                   東京都庭園美術館 ウッドデッキ


さて、アートに浸った後はこちらのウッドデッキで深呼吸...
この美術館では西洋庭園、日本庭園、芝生広場なども公開されていますが、
こちらのデッキは美術館脇のお庭に面した人影も薄いエリアで、のんびりできます。

友人と話が弾みましたが、何が一番印象的だったかと訊かれ、
迷わず口にしたのは、「古代エジプトARABASTER/アラバスター!」でした。

これは、縞目大理石(アラバスター)が削られ、研磨された容器で、
吹きガラスの技術のなかった当時、香油入れとして利用されていたようでした。
色調の効果を考慮しながら研磨して仕上げられたらしい淡いカラーの帯状模様は、
シンプルなフォルムを引き立てるもので、これは心の琴線に触れる香油入れでした。

以下は、同じ展示室で心を奪われた香油入れたちです。

ARYBALLOS/アリュバロス」(ギリシア)
これは、テラコッタに黒色釉が施された小さな小さな壺でした。

中東PERFUME FLACON/香油瓶」(2Cまたは3C/ローマ時代)
鉛のガラスから透明な吹きガラスへ転換したのはいつの頃でしょうか?
じっと眺めていると、心に羽根がはえて中東に流れる川のほとりに飛び立つようでした。

中東PERFUME ASPERSOIR/撒水器」(7C/イスラム期)など。
このイスラム期の透明ガラス瓶の口元は、青色ガラスがロープ状に巻かれていました。
まさに西洋のガラスのルーツですね。


これらの、中東の小さな香油瓶たちは、
摩呵不思議な光沢を放ちながら、
歴史の足音を響かせているようでした。

長い眠りから覚めて、ガラスケースに収まった香油瓶たちに、
私は確かに声にならない歓声を浴びせていました...



東京都庭園美術館庭園07                  ウッドデッキから望む庭園



東京都庭園美術館庭園08                  ウッドデッキから望む庭園


「きらめく装いの美 〜香水瓶の世界〜展 」の会期は11月28日まで。
なんとか時間をつくり、再訪したいと思っています。
まだご覧になっていない方、是非お出かけくださいませ。




東京都庭園美術館の記事はこちらにもあります
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● 東京都庭園美術館展覧会
   東京都庭園美術館 〜パリに咲いた古伊万里の華〜  2009 by Richesse

● 東京都庭園美術館正門脇の和カフェ&レストラン
  CAFE 茶洒 KANETANAKA @ 東京白金台   2009 by Richesse
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東京都庭園美術館
TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM

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東京都港区白金台5丁目21−9
www.teien-art-museum.ne.jp/
TEL: 03-3443-0201
OPEN:10:00〜18:00
CLOSED:第2・第4水曜日
       (祝祭日の場合は開館し、翌日休館)
       年末年始・展覧会準備期間(庭園への入場は可能)
最寄首都高速出口:2号線「目黒出口」「庭園美術館西」交差点左折
最寄駅:都営地下鉄三田線/東京メトロ南北線「白金台駅」―亳徒歩6分



≪きらめく装いの美 〜香水瓶の世界〜巡回先≫
海の見える杜美術館
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広島県廿日市市大野亀ヶ岡701
http://www.umam.jp/
TEL:0829-56-3221
3月〜11月:平日・日曜日 10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで開館)
12月〜2月:平日・日曜日 10:00〜17:00(金・土曜日は19:00まで開館)
※ 不定休


いわき市立美術館
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福島県いわき市平字堂根町4−4
http://www.city.iwaki.fukushima.jp/kyoiku/museum/index.html
TEL:0246-25-1111
9:30−17:00(入館は閉館30分前まで)
※7・8月の毎週金曜日20:00まで
※月曜休館

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