近江の白鬚神社 湖中鳥居
九州博物館を作られた建築家の
菊竹清訓氏が、いつだったか
「海の神、ポセイドンはギリシャでは丘の上にあり、
日本では、一番作りにくいが本来の場所である海にある。
あっぱれですね。」
というようなことを仰られたことがあり、それがとても印象に残っています。
菊竹氏のそれは
宮島の厳島神社(広島)に対する讃辞だったのですが、
ご紹介のこのPhotoは、
白鬚神社(滋賀)の湖中にある鳥居です。
この鳥居が建つのは、もちろん海ではなく琵琶湖ですが
白鬚神社が『 近江の厳島』 と称されていることに頷けますね。
国道から眺めると小さく見えますが、社務所の方のお話によりますと、
58.2mも沖にあり、その高さは湖面からは12mもあるそうです。
この
白鬚神社、実は近江では最古の神社とされ、
社殿が創られたのは、なんと垂仁天皇(25年)の時代だそうです。
この辺りは琵琶湖のなかでも湖北に続き人影はまばらですから、
遠回りしてでも、ほっとしたい時には何度となく立ち寄ってしまうスポットです。
国道から石段を降りて、波打ち際でしばしぼんやりと・・・
近江の自然に抱かれて自分と向き合うひととき。
今は亡き、祖父との思い出も蘇ります。
白鬚神社が舞台とも云われる謡曲は祖父から教わりました。
さて、お話が前後しますが、昨日は時折降る小雨の中を、
道草好きの私は例によって、北陸自動車道を途中下車(笑)しました。
ふと思い立って、木之本ICで降り琵琶湖北から湖西に向ったのでした。
予定外の行動・・・(笑
心のままに車を滑らすのは、至福の時間です。
湖北一帯は幽玄な色彩に包まれ、静まりかえりながらも、
まるでバイカル湖のように、ここは古湖なんだよと云わんばかり。
湖の底からは、秘めやかな主張が響いてくるようでした。
今春、見頃を逃した桜並木も懐かしかったです・・・
この桜は、いつも以外と早い時期に開くのですね。
奈良や京都の寺社にあるような、いわゆる名木にはみられない
ナチュラル感はこの辺りの風景に馴染み、ほっとさせられます。
野生(?)の感がうづき、ここでも車を降りてみました!(笑
美しい湖水に触れると、仕事の疲れが嘘のように飛びます。
見ると国定公園と記された札がありました。
なるほど、景観がただものではないはずです!
『ここを汚す者は、
二度と来るな!』の張り紙にはちょっとビックリ!
これを張らなければならない現実が寂しいですね。