東山慈照寺(銀閣寺/Ginkakuji Temple) 観音堂
紅葉が見頃の京都、東山慈照寺(銀閣寺)を久しぶりに訪ねました。
平成19年秋から改修工事が行われ、この春に全面修復を終えたところです。
今回は改修後、初めて門を潜りました。
観音堂の柿
(こけら)葺きの屋根は、約30年毎に葺き替えられるそうですが、
馴染みのある黒みを帯びた屋根は、綺麗過ぎて少々違和感はあるものの、
煌びやかな金閣に比すると、木肌が露出する素朴な佇まいには風情を感じます。
ずらして重ねた薄いサワラの木片を、竹釘で止めるという柿葺き屋根ですが、
時の歩みと共に風雨に曝されながら、段々とまた趣を増していくのでしょうね。
もとは室町幕府の8代将軍、足利義政の隠居後の市中山荘としての「東山殿」。
義政亡き後には臨済宗相国寺派の寺として改められ、菩提が弔われたようです。
銀閣寺の総門には、その時与えられた「東山慈照寺」の名があります。
(
の画像にマウス・オン)
東山慈照寺 総門
この総門を潜り、右に折れると高い生垣(銀閣寺垣)に沿い中門へ導かれます。
朝の散策時間に足を延ばし、人の少ない庭園でゆったり紅葉を愛でましたが、
展望台から降りると、観音殿(銀閣)の前はいつのまにか人で溢れていました。
帰る頃には拝観券を求める長蛇の列が、また駐車場にも観光バスが何台も...
1994年には世界文化遺産にも登録されましたが、相変わらずの人気ですね。
さて、こちらは方丈(本堂)から眺めた観音堂(銀閣)です。
方丈の前に広がるのは、波型に盛られた「銀沙灘
(ぎんしゃだん) 」です。
手前から銀沙灘・向月台・観音堂(銀閣)
禅寺を訪れる楽しみのひとつには、方丈前の白砂の波紋があります。
向こうには富士山型に積まれた白砂の「向月台
(こうげつだい) 」もみえます。
モダンアートを思わせる砂の造形は、銀閣寺ならではの見どころですが、
これらは足利時代に造られていたわけではなく、江戸時代以降のもので、
向月台もはじめは円筒形であったこと等が、文献に記されているそうです。
国宝 東山慈照寺:東求堂
(とうぐどう)
こちらは、池のほとりに佇む東求堂
(とうぐどう)です。
入母屋造りの屋根は、檜の皮が重ねられた檜葺きです。
銀閣同様、義政好みの素朴な佇まいですね。
創建当時は、壮大な建築群を誇ったと云われる東山殿でしたが、
現存する建物は、観音殿(銀閣)とこの東求堂のみのようです。
当時は今よりも南側、銀閣の傍らにあったと聞きます。
国宝 東山慈照寺:東求堂
(とうぐどう)
建物の南は板敷きで、仏間と四畳半があり阿弥陀三尊が祀られています。
義政は東求堂を持仏道として建立したようですが、書斎も設けています。
北面には畳が敷かれ、畳敷きはこの時代の書院造りから始まったそうです。
東山山荘、観音殿(銀閣)の完成を見ることなく没したという義政でしたが、
造営を始めた翌年、常御所の完成後には早速移り住んだと云いますから、
東求堂北面東の「付書院」がある「同仁斎」で、実務を執り行ったのでしょうか。
この四畳半書院には「違い棚」も設えられ、現存では最古の座敷飾りだそう。
今、秋の特別公開ということで、この「同仁斎」も観ることができますよ。
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2010銀閣寺 秋の特別公開
「東山文化の原点 国宝東求堂」
本堂
・ご本尊の釈迦牟尼仏を安置
・与謝蕪村・池大雅の襖絵(複製)
国宝・東求堂(とうぐどう)
・持仏堂として阿弥陀如来像を安置
・足利義政公法体(像)を安置
・四畳半書院「同仁斎」
(書院飾りの再現)
弄清亭(ろうせいてい)
・御香座敷(香座敷の本歌)
・奥田元宋の襖絵
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<秋の特別公開は2010年12月5日まで>
国宝 東山慈照寺:銀閣(観音堂)
お色直しで整えられた美しすぎる観音堂...
屋根の上の鳳凰がアクセント!...と云ったら叱られそうですが、
これは内部に安置されている観音菩薩を見守っているのだそうです。
やはり、ここから眺める観音堂(銀閣)がいちばん好きです。
名勝で知られる池泉回遊式庭園の、「錦鏡池」にその姿を映し出しています。
東山殿の中核をなす銀閣は、義政の祖父の3代将軍義満による金閣を模したもの。
これは京都の楼閣建築としては、北山山荘の金閣と並んで初期のものだそうです。
上層の板壁には高貴な花頭窓が施され、素朴ななかにも気品が見え隠れ...
禅宗文化が基調の、まさに東山文化の象徴ともいえる建物ですね。
慈照寺(銀閣寺)の紅葉
錦織りなす京の空気は、格別です。
この紅葉と朝の冷気に包まれながら、月待山へ登りました。
京都のお寺には、なぜか紅葉がしっくりくるのですね。
慈照寺 観音堂(銀閣)
さて、こちらは中門を潜って初めに、間近で目にする観音堂(銀閣)です。
庭園を一周しながら四方八方から銀閣を眺めますが、表情は微妙に異なります。
二層楼閣の一層は、書院風の「心空殿」です。
応仁の乱以後、住宅様式の主流は書院造りへと変換を遂げたようですが、
採光のため考案された明障子に板を張る腰高の障子は、書院造りの特徴です。
義政は一層のこの空間を、座禅のための道場として計画していたようですが、
「心空殿」の奥の間には、現在「千体地蔵像」が祀られています。
慈照寺 観音堂(銀閣)の潮音閣
そして、上層の「潮音閣」は唐様仏殿で、ここには観音菩薩像が祀られています。
今回は大正初期以来の大修復だそうで、この「潮音閣」には黒漆が施されました。
それにしても...
室町時代の建築が、時間
(とき)の流れにも耐えて残りうるのだから凄いですね。
東山文化の象徴なる貴重な建物を、歴史として継承するのは今を生きる人の役割り...
東山慈照寺(銀閣寺/Ginkakuji Temple) =============================京都市左京区銀閣寺町2
TEL:075-771-5725
http://www.shokoku-ji.or.jp/ginkakuji/index.html
参拝時間
・夏季( 3/1 -11/30)8:30 〜17:00
・冬季(12/1-2/末日)9:00 〜16:30
参拝志納料 :大人・高校生¥500
Pなし
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<京都市営 銀閣寺観光駐車場 40台(有料)>
・オンシーズン 普通乗用車¥800(2h)
8:00〜17:00
・駐車場のお問い合わせ
京都市左京区浄土寺石橋町62番地
TEL:075-771-0783
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