le Magazine ★ Richesse                                                      リシェスなささやき・・

ポーラ美術館コレクション展@名古屋市美術館                     〜印象派とエコール・ド・パリ〜

名古屋市美術館             Nagoya City Art Museum/名古屋市美術館


闇の中に浮かぶのは、白川公園内に佇む名古屋市美術館(南側)です。
開催中の、ポーラ美術館コレクション展「印象派とエコール・ド・パリ」へ...

ずい分前に招待券を戴きながら、昨夜ようやく訪ねることができました!
名古屋では暮れの「ヤマザキマザックMuseum」以来、久々の美術館訪問です。
金曜の夜間に開館(午後8時まで)というのは、本当に有難いですね。

昨夜は少し改まった新年会の後、フォーマルな装いのままで滑り込みましたから、
(まだまだ続く新年会...苦笑
おのずと絵画鑑賞の姿勢にも、いい意味での緊張が加わりました。。

背筋もいつになくシャンと!!
するとどうでしょう。
馴染みのある作品ばかりの、「印象派」や「エコール・ド・パリ」のはずですが、
ラフな装いで立ち寄る時とは異なり、1点ずつきちんと向き合う鑑賞ができました。

観る側の姿勢や心のあり方で、如何様にも感じとれるのがアート、
絵画もまた然りと、今更ながら思うのでした。



ポーラ美術館コレクション展-印象派とエコール・ド・パリ-2010.12.7-2011.2.6 名古屋市美術館

       
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MASTERPIECES FROM THE POLA MUSEUM OF ART
ポーラ美術館コレクション展

印象派と
エコール・ド・パリ

2010.12.7(Tue.) 〜 2011.2.6(Sun.)

Nagoya City Art Museum
名古屋市美術館
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主催:名古屋市美術館・中部日本放送・中日新聞社・TBS
    公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
後援:フランス大使館・愛知県.岐阜県.三重県各教育委員会
協力:名古屋市交通局・日本通運   企画協力:テモアン



本展は、ポーラグループのオーナー鈴木常司氏のコレクションの中核をなす、
19Cフランス印象派からエコール・ド・パリまでの選りすぐりの作品展です。
以下は案内に載っていた印象派画家の括りです。

Impressionnistes
ルノワール / モネ / シスレー / ピサロ / ギヨマン / セザンヌ / ゴーガン
ゴッホ / スーラ / シニャック / クロス / プティジャン / シダネル / ルドン / ロートレック

瞬時にとらえた色彩と光、そして陰影の内なる印象...
それらを主観的に表現した巨匠たちの作品を、改めてじっくり観ていると、
ファンクショナルな和声や調観念を脱した音楽が、淡々と脳裡をよぎりました。

この時代は絵画にとどまらず、詩や音楽の描写も
どんどん、主観的な表現になっていったのでしたね。


そしてこちらは、本展で観られる「エコール・ド・パリ」の作家たちです。

École de Paris
ピカソ / ユトリロ / ローランサン / ヴァン・ドンゲン
パスキン / モディリアーニ / スーティン / キスリング / フジタ / シャガール

20C初頭のパリで、当時のイズムからは離れて生きた画家たち...
彼らは、心象風景を描きながら、ある意味「自由」を謳歌したパリ派です。
憂愁が色濃く写しだされた作品の数々も観ることができました。

特記すべきは、門外不出とされていた「パブロ・ピカソ」の「海辺の母子像」でしょうか。
青い闇のなかで、子を慈しみながら抱いている女性がひっそりと佇んでいます。
手にする花の赤は強烈で、インディゴやコバルトの放つ神秘を際立たせています。
足元に打ち寄せる波は動きを止めて、まるでこの母子を見守るかのようにも...
「青の時代(1901〜1904)」とされる1902年に描かれた代表作だそうです。
この絵の前に佇むと、思わず祈らずにはいられない不思議な感覚に囚われます。

ところで、箱根のポーラ美術館は、立地も含めて好きな美術館のひとつ...
開館以来、四季を通じて出かけていますので見慣れた作品もありましたが、
そこで対峙する作品は、どうやら周りの風景と相まってより哀愁を帯びるようです。
収める箱が違うと、アートは異なるメッセージを投げかけてくるものですね!
本展覧会は、全体に主張し過ぎないシンプルな構成で淡々と鑑賞できました。


ところで、今回もやはり目に留めたのは、「ポール・ゴーガン」のこちら
後期印象派とされるゴーガンの、いわゆる印象派画風からは遠い作品ですが...


MASTERPIECES FROM THE POLA MUSEUM OF ART: The White Tablecloth / Paul Gauguin 1886
ポーラ美術館コレクション
The White Tablecloth / Paul Gauguin 1886


南米育ちのゴーガンの、こんな「繊細さ」に出合うとちょっと嬉しくなります。
実はパリ生まれだと伺えば、妙に納得もしたり...
あのモーリス・ドニが、この絵を所有していたらしいのですが頷ける話です。

カトリックでは聖母の被昇天祭りの慣習として、身近な人に感謝の意を示しますが、
Pont-Aven に滞在中のゴーガンが、ペンションのオーナー夫人に贈った絵だそうです。

特にセザンヌを彷彿させる、バックの色彩に魅了されるのですが、加えて
フラワーモチーフにも、セザンヌに傾倒していたゴーガンの心情をみてとれますね。
テーブルに配されたブルゴーニュ特有のカラフェの絵付けも愛らしいこと...
日頃抱いているゴーガンの印象とは、また異なる作品という意味で興味深いです。



名古屋市美術館_ポーラ美術館コレクション展(印象派とエコール・ド・パリ)


「ポーラ美術館 コレクション展」は、明日(2/6)まで。
このところ、「印象派絵画展」の洪水に浸る日本列島(?)で、
溺れそうではありますが、訪れてみれば新たな発見も...。

次回は、ゴッホ展ということで、そちらのチケットも戴いています。
また、楽しみに伺いたいと思います。



  2011/8/10 UP
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レンブラント
〜光の探究 /  闇の誘惑〜
見よ、天才レンブラント
2011.6.25(Sat.) 〜 2011.9.4(Sun.)
Nagoya City Art Museum
名古屋市美術館
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名古屋市美術館
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名古屋市中区栄二丁目17番25号(白川公園内)
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/index.shtml
TEL;  052-212-0001 
OPEN;9:30〜17:00
CLOSED;Mon


■ 名古屋市美術館・次回企画展はこちら
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The Adventure of becoming an artist
Van GOGH / ゴッホ展
〜こうして私はゴッホになった。〜

2011.2.22(Tue.) 〜 4.10(Sun)
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箱根ポーラ美術館
POLA MUSEUM OF ART

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神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1285
http://www.polamuseum.or.jp/
TEL; 0460-84-2111
OPEN; 9:00~17:00(16:30)
無休(展示替えの臨時休館あり)・Pあり(¥500)

● 箱根ポーラ美術館関連記事 by Richesse
箱根ポーラ美術館/ボナールの庭、マティスの室内―日常という魅惑






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アサヒビール大山崎山荘美術館「民藝誕生」展                   そして、地中の新館ギャラリー@京都府


leoctobre2010_アサヒビール大山崎山荘美術館           アサヒビール大山崎山荘美術館本館(登録有形文化財)


小雨の中、先日数年ぶりに訪ねた「アサヒビール大山崎山荘美術館」です。

京都府南西に位置する大山崎は、山紫水明の景勝地として知られますが、
桂川、宇治川、木津川が合流する風景を望んだという高台に佇んでいます。



喫茶室テラスより望む               美術館本館2F喫茶室テラスより男山八幡を望む


資料によると、実業家で登山家でもあった加賀正太郎氏(1888-1954)が、
留学中に目にした英国の建築に倣い、自ら設計したという別邸(山荘)であり、
大正時代の木造建築は、昭和初期に鉄筋コンクリート造で増築されたようです。



大山崎山荘美術館2F喫茶室テラスより

もとは加賀夫妻の寝室だったという2Fの部屋は広いテラスを有し、
今は喫茶室として開放され、美味しいお茶をいただきながら、
バーナード・リーチ氏や富本憲吉氏の作品を鑑賞できます。


広大な庭園と景観を誇った加賀山荘でしたが、時を経て人手に渡り、
いつしか荒れ果ててしまったようで、他に新たな建物の計画もあったそうですが、
天王山周辺の景観を保ちたいと願う地元の方々の声は山荘をも蘇らせたようです。

「民の力こそが原動力!!」

これは今や世界的な建築家、日本を代表する安藤忠雄氏の言葉ですね。

安藤忠雄氏の「文化的遺産を次世代に継承したい」という大きなエネルギーは
20年余り放置されたこの山荘が、取り壊しの危機に曝された際にも発揮され、
京都府とアサヒビールの協力のもと、竣工当時の意匠をとどめて修復されました。

来年は、安藤忠雄氏による新設の多目的ホールも落成されるようですが、
工事に伴う美術館の改修はこの夏終り、全館がバリアフリーとなりました。

所用で京都市内に出向いたこの日、足を延ばした大山崎でしたが
美術館本館では「Birth of MINGEI/民藝 誕生」展が催されていました。


正直、学生時代にはさほど興味を覚えなかった民藝(民衆的工芸)で、今でも
恥ずかしながら、民藝とカテゴライズされる作品の中には苦手なものもあります。

作品に歴史と物語を感じられれば、それはそれで楽しいに違いありませんが
当然ながら、私自身に職人技を定める眼力が備わっているはずもなく、
お茶碗にしろ、お皿にしろ、壺にしろ、対峙しても直観的に心が動かなければ、
悲しいかな通り過ぎるだけで、次第に興味は失せてしまうのですね。(苦笑

美を見出す直観力が乏しいと云ってしまえば、我ながらあまりに寂しいのですが、
齢を重ねるうちに、段々と素朴な作品のいくつかに魅かれるようにもなってきました。
それは今活躍中の作家さんの、歪んだお茶碗やお皿に覚える安堵感に似ています。


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                                    Birth of MINGEI
                                         民 藝 誕 生
                              美しいものを 美しく見て 何が悪い!
                             
                               2010/10/1(Fri)~12/12(Sun)

                  Asahi Beer Oyamazaki Villa Museum of Art
                               アサヒビール 大山崎山荘美術館
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                       同時開催:フランス美術の名品(新館ギャラリー)



今回の企画展で特に興味を覚えたものは、他でもなく李朝の陶磁器で、
1Fの展示作品のなかで、この日出会えた三嶋のお茶碗はそのひとつ...

 ・ 李朝(李氏朝鮮) 花三嶋碗 / 15-16C

先回記した河文のお茶会で目にした李朝前期の三島茶碗と重なるものでした。
どちらの茶碗にも、施されたのは不揃いの三嶋歴様の文様であり、
精緻とは言い難い風情に、日常雑器ならではの趣きを感じるものでした。

また、はなはだ独断的ですが特記すべきは19Cの小さな白磁のお香炉でした。
これを見るや否や、あの河井寛次郎氏が写しを数点制作したと云う逸品だそう...

 ・ 李朝 白磁蓮華形香炉 / 19C

上記の花三嶋碗と同じ池前展示室の、こちらは暗闇のコーナーにひっそりと...

思わず襟を正して拝見したほど、楚々とした中に凛と美しさを放つ白磁香炉で、
叶うならば、真綿にでも包んで傍らに置き、時々愛でていたいほどでした。
屈んで観た、側面からの姿にうっとり溜息...
この白磁でお香を焚いたら、どんな風に薫るのでしょう。

ところで、この美術館が所蔵するこれら李朝の佳品については、
ここの学芸顧問を務められる佐々木潤一氏が丁寧に解説されています。

これらは日本が朝鮮半島を統治した時代、30余年の長きに亘り在任して
調査蒐集に携わった浅川伯教(のりたか)氏の見極めによるものなのだそう。

当時、大阪財界にあったアサヒビール初代社長の山本爲三郎氏は
浅川伯教氏と弟の巧氏兄弟に文化活動の助成をされたと伺います。
この浅川兄弟の業績が、柳宗悦氏の李朝文化への傾倒を促したようでした。

柳宗悦氏をはじめ当時の目利きたち、民藝同人の熱い思いも伝わる展覧会でした。
「民藝 誕生」展は12月12日(日)までの開催で、今月の休館はないそうです。


さて、こちらは歴史が継承された建物に隣接して延びる長いコンクリートの廊下...
1995年竣工の新館も、山荘本館の修復に関与された安藤忠雄氏の設計です。
(新館は廊下のみ、撮影が許可されています。)


アサヒビール大山崎美術館_新館               アサヒビール大山崎美術館新館 階段状廊下


コンクリート打放しの長く延びる階段状廊下は、まさにANDO建築ですね!
原点ともいえる「Row house,Sumiyoshi」を彷彿する細長い建物です。

この階段の底から、上った突当たりのガラスの向こうには睡蓮の池も望めます。
廊下の壁、凹部にはロダンの小さなブロンズやフランス陶器も飾られています。



アサヒビール大山崎美術館_新館              


ギャラリーは階段を降りた壁の左手に、地中に埋め込まれるように配され、
庭園を散策しましても、新館のこの建物の存在は誇示されず...

安藤氏自らの、「旧い建物に敬意を表して、新しい館は地中に配しました」という、
この慎ましやかな言葉は、竣工当時のとあるエピソードと重なり頷けるものでした。

今年の5月、NYエリス・アイランドでのSANNA(妹島和世・西沢立衛両氏)の
プリツカー賞受賞の嬉しいNEWSは記憶に新しいところですが、思えばこれは
1996年の安藤忠雄氏以来の日本人建築家の受賞ということで、快挙でした!

安藤忠雄氏がプリツカーを受賞されたのは、この大山崎山荘美術館が開館の年で、
なんと10万ドルの賞金の全額を、まことに慎ましやかに寄付されたとのことでした。


ところでこの新館の、オランジュリー・ミュゼを彷彿させる円形ギャラリーの壁には、
クロード・モネによる睡蓮の連作とアイリスが掲げられています。

 ・ クロード・モネ 「睡蓮/1907年」
 ・ クロード・モネ 「睡蓮/1914-17年」
 ・ クロード・モネ 「睡蓮/1914-17年」 
 ・ クロード・モネ 「アイリス/1914-17年」

モネは86歳で亡くなるまで自庭の睡蓮の池を200点余り描き続けましたね。
刻一刻、表情を変える光を独特の色彩のタッチで捉えた作品はあまりにも有名...
ガランとした人の気配のない時間、椅子に掛けながら久しぶりにゆったりと、
ジヴェルニーの庭園やパリのオランジュリーに想いを馳せました。

また、この円形ギャラリーの内側の壁にはボナールとブラマンクの絵画も...
 ・ ピエール・ボナール  「開いた窓の静物/1934年頃」
 ・ モーリス・ブラマンク 「風景/1950年頃」



この睡蓮の池は、もとはダイニングルームのテラスからの望む中庭にあります。
池に佇んでみえる建物は、欄の栽培がされていた温室への通路だったそうです。


アサヒビール大山崎山荘美術館 中庭の池              大山崎山荘美術館本館 池前展示室テラスより



アサヒビール大山崎山荘美術館 中庭睡蓮の池                         中庭 睡蓮の池




アサヒビール大山崎美術館_庭園_バリーフラナガン「野兎」              大山崎山荘美術館庭園 バリー・フラナガン「野兎」


訪ねたのは霜月の声をきく前、紅葉の盛りにはまだ早い庭園...
今頃は、木々の葉にも紅色がすすんでいることでしょう。
バリー・フラナガンのウサギさんがのびやかな姿で迎えてくれますよ!

拙い覚え書きを最後まで目を通してくださった方、ありがとうございます。



Asahi Beer Oyamazaki Villa Museum of Art
アサヒビール大山崎山荘美術館
============================================
京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字銭原5-3
http://www.asahibeer-oyamazaki.com/
OPEN 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
CLOSED 月曜日(祝日の場合は翌日)
       臨時休廊あり
総合案内 075-957-3123
Pなし
* JR大山崎駅近くの踏み切り脇にコインパーキングあり。
=======================================
(資料:大山崎山荘通信、民藝誕生展展示作品一覧、館内見取り図)

                 
※大山崎関連記事(内部リンク)
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駅前のスタイリッシュ・カフェ★hermit green cafe@ 阪急京都線大山崎

阪急大山崎駅前のスタイリッシュ・カフェ「 hermit green cafe」です。
大山崎山荘美術館からの帰路、R171に向う途中で...   Read MOre
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2010秋季展 〜織部が愛した茶碗〜                         @白金台 畠山記念館

畠山記念館/Hatakeyama Memorial Museum of Fine Art                     白金台 畠山記念館


都営浅草線の高輪台駅にほど近い住宅街にひっそりと...
本当にひっそりと、緑のなかに佇む畠山記念館に先日立ち寄りました。

ここは近代の数寄者のひとり、「畠山即翁」こと畠山一清氏が遺した美術館です。

「即翁」と号する大茶人であった畠山一清氏は
東京帝国大学を卒業後、ポンプの開発に取り組み、
後に荏原製作所を興した実業家であることが知られています。

熾烈なビジネスを勝ち抜くその眼は、骨董にも向けられたようで
特に茶道具の蒐集に情熱を注いだと云われます。

収蔵品には国宝、重文も含まれ、その数は1300件あまりだそうです。
茶道具以外には、書画、陶磁、漆芸、能装束など...
これらは年に4回ほど催される企画展にて公開されています。

門をくぐり、まずは樹木が生い茂る緑の庭園に...



畠山記念館 庭園 02



畠山記念館 庭園 03


          苑内を歩いて目につくのは、こちらの巨木たち...
          (庭園散策のみはできないようです)


畠山記念館庭園_アカマツ(樹齢300年)                     アカマツ(樹齢300年)


畠山記念館庭園_ムクノキ(樹齢200年)                     ムクノキ(樹齢200年)


畠山記念館庭園_モチノキ(樹齢250年)                     モチノキ(樹齢250年)


畠山記念館庭園_クヌギ(樹齢200年)                       クヌギ(樹齢200年)


畠山記念館庭園_ムクノキ(樹齢180年)                     ムクノキ(樹齢180年)


この緑溢れる苑内には6つの茶室が点在し、時折茶会が催されています。
さて、このコンクリートの橋を渡ると美術館のエントランスですが、
土足厳禁ですから、スリッパが並べられています。



畠山記念館/Hatakeyama Memorial Museum of Fine Art                    畠山記念館 エントランス

鉄筋コンクリートの建物は、畠山即翁が自ら発案されたのだそうです。
2階の展示室には茶室「雀庵」も設けられ、呈茶席として使われています。

この日の茶花は、りんどうと我赤紅...
籠の花入れに紫と白のりんどうが涼しげでした。

お抹茶をいただきましたら、お干菓子には両口屋さんの銘菓「二人静」が...
お茶碗は、辻村史朗氏による「高麗茶碗の写し」でのびやかな作品でした。
辻村史朗氏は、細川元総理に陶芸の手ほどきもされた奈良の作家さんです。

日常で、高麗茶碗を用いてお抹茶をいただくことはあまりないのですが、
麦とろご飯などの献立には欲しくなり、名も無いお茶碗ですが食卓に登場させます。


只今その「高麗茶碗」が主役の秋季展が催されています。



               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                      平成22年秋季展
                 織部が愛した茶碗
                    〜高麗 割高台〜

              2010/10/9(Sat) 〜 12/19(Sun)
               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



le12octobre畠山記念館2010秋季展 〜織部が愛した茶碗〜                「織部が愛した茶碗 〜高麗 割高台〜」展 



案内には、古田織部が所持したと云われる高麗茶碗が...
本展のテーマでもある「割高台(わりこうだい)」です。

なんとも豪快なお茶碗で、高台の4ケ所の切り込みも大胆です。
添え書きには「もとはキリシタンの洗礼用祭器であったと推定する向きもある」と...

なるほど、内からも外からも深く切り込まれた十文字は、
ロザリオを彷彿させ、織部キリシタン説とも繋がります。

古田織部が千利休の「高弟七哲」のひとりであるのは、よく知られるところですが
利休亡き後は秀吉の意を重んじ、いわゆる「大名茶道」に仕立て直したと云われます。
織部は折に触れ、朝鮮人陶工の窯に出向いては、茶碗を創らせたとも聞きます。

未曾有の混乱を極める時代から今に至る名品の数々...
李朝(17C)の「御所丸茶碗/銘 堅田」が特に響きました。
織部の時代に思いを巡らせながら鑑賞しました。

思うに、茶道具の展覧会というのは箱書きも拝見できるのが嬉しいですね。
海外では重要視される美術品のプロヴナンスですが、
日本の展覧会では、それが表に出ないのは残念です。


ところで今回は、「割高台茶碗」を用いた近代茶会の道具組も拝見できる内容で、
これは即翁が遺した肉筆による「茶会記」により可能な限り再現されたものでした。
割高台茶碗を入手した即翁は満を持して昭和29年秋の午後、これを披露したようです。

織部の時代から400年の時を経ても尚、近代数寄者たちを魅了させた割高台...
昭和29年11月16日、即翁の「新座敷披きの茶会」の様子は興味深いものでした。

寄付きには、家康の筆による「道中宿付(17C)」も...
萩三島写汲出茶碗(19C)」にも魅入ってしまいました。
また本席に用いられた「圓悟克勤墨跡 法語(南宋時代)」は重文でした。
書のことはよく判りませんが、名品は茶席に欠かせない墨跡に多いようですね。

墨跡とは肉筆の筆跡をいいますが、茶の湯の普及に伴って茶席の主役に...
これには筆者の行いや極意、人柄が映し出されるとも云われ、
筆者自身と同等の価値がある、といった内容の添え書きもありました。

千利休による櫂先が広がった「茶杓/銘 落曇(桃山)」や、
長次郎の「灰器/銘 大笑(桃山)」も組まれていました。
初めて目にした「唐物肩衝茶入/銘 日野(南宋13C)は
優美なフォルムで、飴色の地釉に柿金気色の景色が施されたもの。


ところで明治維新後、富裕の実業家たちが競って集めた骨董でしたが、
即翁という方は心から茶の湯を愉しんでいたようで、成功者の嗜みを超えたもの。
ここのコレクションには強い趣味性が顕著に感じられます。

それは、茶道具以外の絵画等にもみてとれます。
本阿弥光悦、尾形光琳、尾形乾山、酒井抱一、etc...

来年は酒井抱一の生誕250年だそうですが...
次回の企画展では抱一コレクションを拝見できるようです。
こちらも楽しみですね。



畠山記念館庭園 茶室                   庭園内に佇む茶室





財団法人 畠山記念館
Hatakeyama Memorial Museum of Fine Art
==============================
東京都港区白金台2丁目20-12
TEL: 03(3447)5787
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/
OPEN   夏季(  4〜9月) 10:00〜17:00
      冬季(10〜3月) 10:00〜16:30
月曜・展示替え期間は休館(祝日の場合は翌日)


お詫び
※ 辻村史朗氏に関して不適切な表記がありましたので訂正させていただきました。
  ご指摘をくださったジバゴさん、ありがとうございました。    
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